夏休みになってすぐのことだった。 「きゃーっ優也せーんぱ〜いっ!」 「俊平く〜〜〜ん!」 グランドに響く、大量の高いキンキン声。 「……うるせぇ」 「先輩、落ち着いてください!」 殺気溢れる俺に、佐川が慌てる。 試合と聞けば、現れる女。 ああ、うぜえ…… 煩いだけだっつうの。 これが好きな女の声だったら幸せ何だろうけどな… そんなの中学以来、一度だって無いけどな でも、あわよくば--… 「一条ーーっ、俊平くーん!」