瑠衣が10年間私に向けた愛情は、『相手の幸せを願う愛』。 恋愛も、友情にも、家族にも…… 愛情はあるんだ。 お父さんの愛が無くなってしまったのなら、その分私がお母さんを愛せばいい。 思い返してみれば、一度もお母さんに愛を貰ってばかりで、伝えてなかった。 「お母さん--」 暗い瞳が消えないままのお母さんを、私は強く抱きしめた。 「お母さん、大丈夫だよ。私はお母さんを愛している。」 私の愛が、お母さんの新しい支えになればいい。 「美幸…?」 お母さんは、私を抱きしめ返してきた。