「……私は、嘘なんて言ってない。」 お父さんが、こんな態度なら、 ---私がお母さんに現実を見せるんだ 「お父さんは、もう私たちと家族には戻らないつもりなんだよっ!」 私は、また叩かれる覚悟で、言った。 言った瞬間、目をギュッと閉じた。 覚悟はあっても、叩かれるのは、やっぱり痛いから。 ーーでも、痛みは感じなかった。 いつまでたっても、何も起こらない。 私は、そっと目を開けた。 お母さんを見た瞬間、私の目に涙が滲んだ。 『怖い』 初めて、お母さんをそう思った。