「何が違うの……?」
「俺は、ずっと美幸を迎えに行くつもりだったんだよ。でも、橋本の勘違いで恋人になっちまった。」
あの時、ちゃんと橋本の話を聞いていれば、
こんなことにはならなかった。
何回も悔やんだ。
でも、何回後悔しても、お前は返ってこない。
「俺は、橋本のことを “好き” だなんて思ったこと、一度だってーーー」
パチンッ
俺の言葉が無理矢理、遮られる。
美幸が俺の頬を平手打ちした。
一瞬、俺の手が緩んだ隙に、俺の頬を叩いたらしい。
「さいてーっ!」
美幸の言っている言葉が “最低” という文字に変換されるまでに、数秒かかった。

