「ただいまー。」 学校からいつものように帰ってきたある日。 本能的に “おかえり” を求めてしまう。 ……どうせ、返事なんて無いのに。 いつもなら、そのまま部屋に行くのだが、今日は普段は見ない物があった。 「……くつ。」 玄関をみると、いつもは無い靴があった。 赤いハイヒールだ。 ということは。 珍しくこの家にあの人がいる。 「ただいま。」 自室には行かず、リビングのドアを開ける。 「帰ってきたの?じゃあ、引越しの準備をして。」 そう言ったのは、紛れもなく、血の繋がった私の母。