『いやああぁあぁああ!』

―…目を覚ますと、そこにはいつもの空き地の風景があった。

夏であるせいか、空気が湿っていて、日陰にいるのに、暑さがまとわりつく。

ハッとして、キョロキョロと周囲を警戒するが、
何も無いし誰もいない。

いつもの静かな朝だ。

(…夢……?)

そうだと分かった途端、一気に安堵感が押し寄せる。

(怖かった…!)

一気に力が抜け、地面に倒れ込む。

今までに怖い夢は何度か見たことがあったけど、こんなに現実味がある悪夢は初めてだ。

…それにしても、一体、何でこんな夢を…。

そんな考えが一瞬頭を過ったものの、自問自答する気も起きず。


―空腹だったあたしは、空き地を出て食べ物探しに町に行った。

だが、特別な収穫は無く、結局自分で雀を狩って食べた。

その後しばらく他の猫友達と世間話をし、空き地に帰る頃にはもう夕方になっていた。

そして、健汰を待つ。

来るか来ないかはわからない。
でも、これがあたしの日課だ。


この日、健汰が来ることはなかった。

昨日来たから、当然のことなんだけど…ね。

やっぱり寂しいよ、健汰。