「……杏」 訊ねてきたのは、杏だった。私は、ドアを開けて家の中に入ってもらった。 「紗彩……」 杏は、心配そうな顔をしていた。 「えっと、お茶出すからソファにでも座って?」 「お茶は、出さなくていいよ」 いつもより少し低い声が聞こえた。 「杏、いきなりどうしたの?」 「……どうしたのじゃないよ。翔太くんと付き合ってるの紗彩でしょ?」