それから、月日が流れて私が高校生になる頃。
お別れをしてから、約5年たった。
私は、髪の毛が伸びて顔も大人っぽくなった。
あの時のお兄さんへの気持ちは、何だったのかよくわからないまま……。
「花純、今日は新しい担当の先生が来られるのよ」
「へぇー。どんな人か知ってる?」
あまり興味がなかった。何だか、もうずっと胸にぽっかり穴が開いたような感覚だ。
「若い男の先生らしいわ」
「ふーん、そろそろ来るよね?」
だらだら適当なかんじでやる気のない私。
――コンコン
「あら、きっと先生だわ!」
そう言って、お母さんはドアを開けた。


