―――――― 私は、階段ひたすら走った。エレベーターを使うなんて、考えてる余裕なんてなかった。 ……どれくらい降りたのかわからない。 その時、足を滑らせてしまった。 「きゃー!」 階段から落ちていくのがわかった。絶対痛いと思って、咄嗟に目を閉じた。 ――ドサッ 「……えっ?痛くない」 痛いはずなのに、そんなに痛くなかった。何だか温もりを感じた。 そして、ぱっと目を開いた。 「え?」 私は、高校生くらいのお兄さんに抱きしめられていた。