「いーよ。航太と結ばれてくれたから!」 桃子は、本当にもどかしかったから。って言って、苦笑いした。 「それは、本当にごめん」 「私ね、思ったんだけどね。航太って意地悪でも冷たいんでもないんだと思う」 桃子は、長くて綺麗な指を唇に当てて呟いた。 「え?」 「……ただ、素直じゃなくて不器用なだけじゃない?」 そして、呆れたように肩をすくめた。 「おい、俺のこと呼んだ?」 少し遠い席にいたのに、私たちの話が聞こえたみたいで、こっちにきた。