救助を待つ4人は、お客様のために最善を尽くしていた。
今日はそんな4人をちょっと覗いてみましょう。

「なぁ、深雪、なんで竹本のこと好きなんだ?」
「ぅえっ?!」

思わず変な声がでてしまった。ここまでで色々と梅沢に相談はしてきたが、聞き返されるとは思っていなかったのだろう。

「ん゛ん゛」

そりゃ咳払いもしたくなるよってほど盛大にむせてしまった深雪は、丁寧に理由を説明し始めた。

「それはね、私がまだ学生だったとき、ほら、あの事件があった日!」
「あの事件?」

二人は母校が同じで、高校時代のことは大体わかるのだ。

「授業参観のちょっと前の時間に学食のうどんを校長先生にぶっかけちゃったじゃない?」
「あの日か。今でもはっきり覚えてるぞ」
「話がしやすいのか、忘れて欲しいのか複雑だけど・・・」
「わかったこの話の後に忘れてやる」
「絶対だよっ!」

これで信じる深雪も深雪である。

「・・・とにかくその日に、校長先生から呼び出しくらったの。放課後叱られると思ったら、偶然それをみてた竹本さんが怒らないでって、ただの事故だって説明してくれて。本当嬉しかったの」
「そこまでしか聞いてないと、ただの恩を受けた話にしか聞こえん」
「その後が重要なの!校長室をでたとき、大丈夫?ってこえを掛けてくれて。その後、レディには優しくしなきゃって言ってから、名前も言わずに去っていっちゃったの…その後ろ姿に一目惚れしちゃったのよねぇ・・・はぁもう一度見たいわ・・・」
「で、偶然ここで再会したと」
「でね、でね!その校長室事件のことをね、ちゃんと覚えててくれてて、働き始めたときに、あのときの女の子でしょ!って」

梅沢はその時悟った。あぁ、こんなピュアな子と女たらしの竹本は絶対くっ付けちゃいけないなと。