私が何をしたというのだ....
私にはやらなきゃいけないことがあると
いうのに......
「っ.....くぁ.......」
懸命に言葉を発しようとするが、上手く
言葉にならない。
意識がもうろうとする中、また少し部屋
が明るくなった気がした。
また誰かが入ってきたのだろう。
「土方さん。こいつの身元は分かりまし
たか?」
「いや...何を聞いても答える気配もない
。」
こいつは私が男を殺った時に話しかけて
きた奴の隣にいた奴だな。
「そうですか......所で土方さん、何故こ
のような所に居るのですか?
かなり探したんですよ?
素性を聞くと聞いたからその子を土方さ
んに預けたのに拷問にかけるとは思いま
せんでしたよ。
善良な市民だったらどうするんですか」
「じゃあ…その逆に長州の間者か何かだ
ったらどうするんだ⁉
情報が漏れてからじゃそんな流暢な事言
ってられんぞ⁉」
「長州?それは絶対にありえませんよ。
斎藤くんに何も聞いてないんですか?
昨日こいつに殺された奴は監査が調べた
結果長州の者だと分かりました。あんな
一目の付く場所で同士討ちなどありえな
い。それでも長州だといいますか?
.....それに、その子女の子.....ですよね。」
しばらくの間が空いた。
「.......はっ⁉嘘だろ....」
やはりこの拷問男は私を男だと思ってい
たらしいな。
まぁ、仕方ない。男装をしているつもり
はなかったが、この時代袴に刀を刺して
いれば誰も女だとは思うまい。
この事実を知った土方の顔には少し焦り
が見えた。
そりゃそうだろう。このご時世、男は女
を守ってなんぼだ。
なのに、この拷問男は
その女をきつくロープで縛って拘束した
上に暴力を振るったのだから。
しかも痛手を負った市民である女を…

