「なんにしよ」

暑くなってきたからか、人気のあるドリンクはちらほら売り切れている。

あ、私ビタミンウォーター飲みたい。
カロリーオフでビタミン摂取。最高じゃん。


胸ポッケに伸ばした手に、冷たい紙パックが渡された。

「はい、琳ちゃん」

いちごみるく。

飲んだことない。

「え」

「いや、琳ちゃん手ぶらだからお金もってないかなーって」

「あるよ?」

100円出そうとしたけれど、
「え、そうなん?でもいーよ」
有無を言わせぬニッコリ顔された。

「ありがと……」

でもこれ、たぶん甘いよね。めっちゃ。

「小田桐君、女子はみんな甘党だと思ってない?」

「えっ、違えーの?」

えええ。
マジでびっくりするから笑っちゃった。

皆がみんな、こんなかわいいもの飲まないって。

まあ、せっかくだから飲むけどね。

「いただきまーす」

うん、甘。
喉にぺったり残る甘さ。

視線を感じてちらっと見ると、小田桐君がじっと私を凝視していた。