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「なんか、やっぱ変わったな」
黒いタンクトップにホットパンツ姿で小田桐君と向き合っていると、低いわりに通る声が近づいてきた。
小田桐君が背中にばしっとくらう。「おす」
「あ…こんにちは、海堂センパイ」
「こんちわ!ね、すごい変貌ですよね」
「や、なんてーか」
でかい男に見つめられると無条件で縮こまりたくなってしまうのはなんでだろう。
「オーラ出たよな。顔つきとか、姿勢とか?2、3年の間でも騒がれてんぞ、美少女転校生あらわる!て」
なんじゃ、そりゃ。
「能ある鷹は爪を隠す。ね、琳ちゃん」
にこっと笑顔を向けられると頭が一瞬へんなかんじになるんだ。
「これからはさらけ出すよ」
ちょっとばかり黙りこんでいた先輩が、
「お前ら早ぇなー」
おもしろそうににやついた。
笑うと、浅黒い肌に白い歯がコントラストをつくる。
「何がですか?」
「いや?べつに」
言いながら、先輩は小田桐君の肩を掴んで耳元でなにか囁く。
「ちょ、」小田桐君も小声で返す。
男同士でゴソゴソするのがつまらなくて顔を背けると、
「がんばれよ後輩!」
威勢のいい声がして、どうやら内緒話は終わったようだった。
「まず自分でしょ」
「生意気な」
先輩が部屋の奥に行ったので、私は若干眉を寄せた小田桐君の顔を覗きこんだ。
「なに話してたの?」
「な、んでも、ない」
いつもなら目を合わせて笑顔のひとつもくれるところなのに、思いきりそらされた。
そんな風にされたのは初めてで、
「……へんなの」
しばしむくれてみた。
身体を離すと、彼は伏し目がちになって、ふわっとした髪をガシガシ掻き回していた。



