「じゃあはないさん、ありがとう」
「ありがとうございました」
美容室のドアを押し開けすっかり焼けた空気の中に出て、小田桐くんといっしょに礼する。
「がんばるよー、自分の店も持ちたいしね。二人もがんばって!」
はないさんの明るい笑顔に送り出されて歩きだす。
「ねえ琳ちゃん。コンテストのことだけど」
「うん」
横に並ぶ彼はちらりと一瞬だけ瞳を動かす。
「__一次予選が近いんだ。デザイン画を何枚か提出するんだけど、まだイメージが掴みきれてないのがあって」
「……うん」
デザイン画。見たことないかも。
あれかな……部長さんが大きなモノサシ使って描いてた設計図みたいなの……。
「だから、もう1か所だけついてきて」
「いいよー」
間延びした声をだして見上げると、
いつか見たような真っ直ぐな瞳で私を射ぬいていた。
どこか、さっきの狩人のような鋭さも思い起こさせてどうにも落ち着かない。
しかもじーっと。
そんな風に見ないでほしい……
口には出てこなかった。
本当にそう思ってる?
って言われた気がしてしまって。



