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ゆっくりゆっくり積み重なっていた黒い感情が、オレの代わりみたいに爆発した。
いや正確には、それは他の誰かの"黒い"感情の姿だったわけだけど。
紅く揺らめく大きなモノと、吐き出したくなるような熱気と煙の中で、オレは冷静そのものだった。
やっぱりオレは、ここは嫌だ、と。
事が解決したあと。
平静を装ったつもりでも、身体は無意識をも反映した。
自分でもわからない内に身体が何かを拒絶した。それがあんなに苦しいことだと知った。
眠れない。
暴れたい。
ここでない何処かへ行ってしまいたい。
そんなことばかり考えて、無意味に日々を過ごした。
あのころ、オレは絶対におかしかった。
もしかしたら、今も。
むしゃくしゃして、うわあああって、叫びたかったとき。
叫ぶ勇気もなくて、自分でもどうしたいのかわからなくて、
思い立ったまま逃げ出した。
そこに_____
幼い頃見つけた、大好きな女の子がいた。
本当に彼女なのか、とも思った。
オレを夢中にさせた、かつての自信と向上心にあふれた瞳はどこに無くしてきたのか。
でも、オレと同じ"黒い"ものを纏っているように見えた彼女は、
まだちゃんと秘めていた。
諦めたように見せかけて、実はくすぶっていた。
本人も自覚なんてなかっただろう、その素質。
やっぱり彼女は、視線に晒されてこそ輝く存在だ、と。
初めてあの教室に立ったとき、オレは笑顔を見せながら冷静な頭でそう考えていた。
そして、彼女ともう一度出会ってからは、
考えなしに直感で動き、感覚を頼りにするようになれた。
自分が自分であれる。
ずっとそうしたかった。
なんで急にできたかはわからないけど、重くのしかかっていた負の融合物を打ち砕くだけのエネルギーが突然沸いた。
転がってからは速い。
ありえないほど沸いてくるインスピレーション。
調子に乗っていたら打ちのめされたけど。
とにかく今は、感覚を満足させられるだけの創作意欲とある種の快感に満ちていた。
ふっと気づいたんだけど、無意識に彼女の手を取っていたり、距離が近かったり、見つめていたりしていることがある。
考えるより先に、そうなっている。
たぶん、オレが満たされて、頑張ろうって気になれるのは、そんなときだ。
いいんだろうか、とも思ったけど、
嫌な顔もしないでただはにかむのを必死に隠そうとしているのを見せてくれるから、
もっと近づいて、困らせてやりたいって思うんだ。
大好きな人だから、可愛くて仕方がない。