えっ……
がらり。
引き戸が開けられ、小田桐君が両手いっぱいに色とりどりの布(たぶん全部洋服)を抱えて入ってきた。
そちらに気をとられていると、
「あっ、ねぇ世!この椅子にはめる飾り、デザイン協力してー?」
ぱっと顔を輝かせた姫野先輩が、小田桐君の制服をつかんでいるのが目に入った。
え、早!さっきまでここにいたじゃない?
「んー、いいですけど高いっすよ?」
あの笑顔で、冗談めかして姫野先輩を見る小田桐君。
「えぇー?」
楽しげに笑う姫野先輩は、恋する乙女の華やいだ表情だ。
「ギブアンドテイク、なんてね。ま でも、また小物類選ぶの手伝ってくださいね」
姫野先輩センスいいから、
と、ちょっと声を落として言った小田桐君に、姫野先輩はますます嬉しそうに笑う。
それはまぁ、女の子ならドキッとするでしょ、みたいな仕草で。
ふーん、姫野先輩、小田桐君が好きなんだ。
でも片想いっぽいよね。私に語れるほどの恋愛経験ないけど。
私になんか、わざわざ予防線張らなくても心配ないと思うんだけどなー……
小田桐君みたいな人が、私なんか本気で相手にするわけない……うん、そうだ。



