SUCCESS?

「じゃー、次オレだね!小田桐世、1年、特技サッカー、部活、趣味、好きなもの、デザインと服作り!」


明るい声が響く。

「知ってるよ?」

「ぇー、琳ちゃんそっけなーい」

ギクリとした。ここ1年で、愛想が悪くなっているのを自覚している。

「うそ。覚えててくれるのが一番嬉しい」

にこやかな笑顔と声に、胸のあたりが熱を帯びた気がした。


「全員終わったな。美間田はモデルとして入部したから製作はしないが、手伝いはすると言っている。分からないことは誰にでも訊いてくれ」

「……部長の俺に任せろ、とかじゃないんだな」

「そういうものなのか?」

部長さんにつっこんだ海堂先輩が苦笑いする。

「あの、部長さんのお名前を聞いてないです」

部長さんの顔をみると、呆気にとられたような表情を浮かべていた。

「俺は、自己紹介をしたか?」

「してないから、名前を聞いてないんです!」

何だろう、このひと。会話が噛み合わない。

「そうなのか。3年、鷹木春馬だ」

首を傾げつつ、名乗ってくれる。
「……部長だ」
思い出したように付け加える。

知ってます、鷹木部長……。

彼はクールで、表情にあまり変化がない。それはただ、天然で、ボーっとしているからなのかもしれない。


今度こそ全員が自己紹介を終え、それぞれが作業に移った。

布を並べて選んでいるのが、
あやさき ゆいろ先輩と、
かいどう しんじ先輩。

スケッチブック片手に何やら書き込んでいるのが、
あらた ゆういちろう先輩。

昨日とおなじ、大きなテーブルを窓際に寄せて模造紙を広げているのが、
たかぎ はるま部長。

木材の大きさを図っているのが、
ひめの じゅり先輩。

みんな、真剣な顔……。
人の名前を覚えるのは得意だ。

気をひかれ、部屋を見渡して交わった視線を、なぜなのか逸らせなかった。
小田桐君の透き通るブラウンの瞳に吸い寄せられて。

また幾つか服を試着してほしいと言う小田桐君を、あのお気に入りの椅子に座って待つことにした。

すると影が差し、見上げると姫野先輩だった。

「それ、樹里が作ったのよ。なかなかいいでしょ?」

自分のこと名前で呼ぶのか。

「はい、すごく可愛いです」

「でもそれ、まだ完成してないからね」

姫野先輩が椅子を指す。

「そうなんですか?すみません」
立ち上がると、姫野先輩はしゃがみこみ、さっきの木材と色を合わせ始めた。

「あと、」
大きなネコ目で睨まれる。

「世は樹里のだからね」