そして時は流れ、12月24日、クリスマスイブ。
明日から冬休みだ。
「じゃーよいお年をー」
「よいクリスマスをー」
なんて言いながらみんな教室を出て行く。
あたしも制服の上からしっかりコートを着込んで、よし帰ろう!と教室を出た瞬間
「おい奴隷」
…なぜか仁王立ちした新藤慧が立っていた。
周りには「今年最後の慧様の姿、しっかり見納めなくっちゃ!」なんて言っている女子が群がっている。
意味不明だ。
「…なにか」
「明日5時にお前んち迎え行くから。しっかり準備しとけよ」
どこまでも上から目線の奴。
「…あたし行くって一言も言ってないけど」
「だからコレは決定事項って言っただろ、お前の意見なんて必要ねーんだよブス」
偉そうにっ!!!
「行かないからねあたし!!」
こんな奴のわがままにいちいち付き合ってられるか!
あたしは新藤慧の横をすり抜けて帰ろうとした。
だが
バンッと通せんぼするように壁に置かれた長い腕に、行く手を塞がれる。
「行かなかったら家庭崩壊。…わかってるよな?」
思わず固まるあたしを一瞥して、新藤慧は群がる女子の真ん中を悠々と歩いて行った。
……くそー!!!



