「…え?でも先生呼んでこないと」
新藤慧の手…すっごく熱い。
「そんなのいいから…今はいろよ、ここに」
キュッと強まる力に導かれるように、あたしは再びパイプ椅子に腰をおろした。
大人しく座ったあたしを見て、フッと新藤慧が笑う。
「…なに笑ってんの?」
「あ?別に?」
そして腕をつかんでいた手を手の平に移動させて、親指であたしの手の甲を、そっと撫ぜた。
「…なんか新藤慧、変。相当具合悪いんだね」
「…みたいだな」
そう言いつつ、あたしの手の甲を撫でるのをやめない。
「…もうずっとおかしいよ、俺は」
「は?」
「お前と会ってから」
そしてフワリと微笑んで、あたしの腰に腕をまわして引き寄せた。
「え!?ちょっとっ…」
なにこれ…なんかあたし今、新藤慧の上に覆い被さってるみたいな体勢なんですけど!!!
「だからうるせーお前ブス、頭に響く」
「うるさくさせてんのはそっちでしょ!!」
慌てて体勢を戻そうとするけど、あたしの後頭部を押さえつけるみたいにして乗っかってる手が、それを許さない。
…なんだこれ。もうヤバい。
……心臓もたない。



