「おい!」
追いついて、つかまえて、引き寄せて。
「…え、新藤慧!?」
振り向いたアイツが、俺を見て大きく目を見開いた。
「…よ」
「…な、なに急に…」
「…別に?」
言葉にできない、あやふやな想いが
浮かんでは消えて
そしてまた現れて
…知らず知らずのうちに、アイツの腕をつかむ手に力がこもる。
「…ちょっと、痛いんだけど…」
そのとき
「…慧!?どうしたの急に!?」
後を追ってきたらしい麗華が、息をきらして駆け寄ってきた。
瞬間
バシッと
物凄い勢いで振り解かれる腕。
「…用、ないんなら行くから。行こ、関口」
そして冷たい瞳でそれだけ言うと、さっさと俺に背を向け歩き出す。
「…っおい!!」
声をかけても振り向く素振りなんて微塵もなく。
…なんなんだよ。



