右手にはタンバリン。
左手にはマラカス。
「イエーイ!綾世盛り上がってるー!?」
「う、うん、ほどほどにね」
あたしはひたすら盛り上げ役に徹していた。
歌は嫌いじゃないけど、あんまり得意じゃない。
みんなどんどん好きな曲をいれて、自由に歌っていく。
只今きみちんは杉本葵とデュエット中。
「岡!大丈夫?」
「関口。なんで?」
片手にドリンクを持った関口が、あたしの隣に移動してきた。
「なんか眠そうだからさ」
「うそ、バレた?焼肉食べ過ぎて超眠い」
すると昔っから食べるの大好きだもんな、と関口が笑う。
「あんま無理すんなよ!
もし途中で抜けるなら言って。送ってくから」
「…うん。ありがとう」
あたしが頷いた時、「関口ー!!」と誰かの呼ぶ声がした。
「…じゃ、行くな」
「うん」



