え?と関口は一瞬驚いたように目を見開いたけど




「……まっすぐで、堂々としてるところ」




暫くして、照れくさそうにそう答えた。





「まっすぐで…堂々?」




「うん。俺には持ってないものだったから。

特に中学の頃の俺は、いつだって周りの目ばっかり気にしてた」




…びっくりした。



だって中学の頃から、関口はいつだってクラスの中心で笑ってて。




「…よく言われた、昔から。お前は何にも悩みなさそうでいいなって。


言われる度に、まーな!なんて誤魔化してたけど。ほんとは多分、必死だったんだ。どっかで今の自分を守ろうって」




…教室の隅で、自由に好き勝手していたあたしとは違って。


誰にも気づかれない、人気者としての悩みがあったんだ。




「でも中2の時、岡…俺のことで女子になんか言われてただろ?」



中2…あたしは記憶を巡らして…思い出した。



人気者だった関口は、今の新藤慧ほどではないものの女子から結構モテていた。




関口と仲が良かったあたしは、そのことでクラスの中心的存在だった女子に目をつけられた。





それで…「それ以上関口と仲良くしたら無視だから」とかなんとか言われた気がする。





「その時、どーぞご勝手に、って言ってた岡が…なんかすげー、かっこよく見えた。


俺ももっと自由に生きていいんだって思った」





勝手に自分を縛ってただけだけど、と自虐的に言う。




「…そんな大したことじゃないよ。
他に仲良い子いたし…そんなんで関口と話さないとか嫌だったし。



それにたぶん、関口はいつも周りのこと考えてたから、だから皆も関口のこと好きになるんだよ」




誰にでもできることじゃない。




そう言うと関口は、「…ありがと」とニッて笑った。