それからのあたしは、どうやって学園祭を過ごしていたのかよく覚えてない。 ただ頭の中では 唇が触れる瞬間のアイツの伏し目がちな瞳と、長い睫毛と 一瞬、掠めるような熱だけがグルグルまわってて。 「……綾世帰らないの?」 「…え?」 気付いたら閉会式も片付けも全て終わって、放課後だった。