体を反転して腹を上に向けても、真琴はあたしに抱きついて腹に顔を埋めたままグリグリと頭を擦り付けている。



近くを通った親子の母親が「見ちゃダメよ!」と言う、よくある場面を初体験することになった。



でも、いいか。これもこれで。



真琴には色々心配かけちゃったし、何より今日は優勝したもんね。



真琴が朝も放課後も頑張って練習してたの、あたしが一番よく知ってるし。



「…真琴、今日の夕飯何食べたい…?」



優しく頭を撫でてやると、勢いよく顔をあげた真琴の瞳は大型犬というよりは小型犬のパッチリとしたものだった。



「ハンバーグ!小夏お手製のハンバーグ食べたい!」


「ガキか!…ま、仕方ないから作ってあげるけど!」



買い物して帰るよ。
先に起き上がって歩き出せば真琴は後から追い掛けてきて、あたしの手を繋いで隣に並ぶ。



あたしの天敵は毎年のようにあたしと真琴を引き離すけど。



来年は大丈夫な気がするって思うんだ。



この繋いだ手が離れることがないんだから。