そんなことあたしに怯まないのが、あたしのお母さん。



「アンタがチンタラ前髪揃えてるからでしょ!いつも真琴くん待たせてー、前髪なんてなんだっていいじゃない」



何だってよくない!
あたしは前髪に命懸けてるんだから!



切り過ぎた前髪に合わせて、周りの前髪もササッと切る。



完璧に切り揃えて、顔についた前髪を払い準備完了。



食卓に置いてあるパンを頬張り、鞄を持つ。
玄関に行く前にもう一度鏡で前髪の最終確認。



「…よし」



いってきますと言いながら靴を履いて、玄関を開ける。



石畳の階段を降りて行くと、途中の踊り場に腰掛け、あたしの家の白猫・お菊を撫でているあいつがいる。