「ねぇ!まーくん!」


最近ずっとこうだ。


「ねぇ!話聞いてよ!」


俺はそっぽを向きながら言ってやった。


「嫌だ。」


話を聞いてと言う割にはとくに意味もないたわいない話をしてくるばかりだ。


「じゃあ、バスケしに行こうよ!いいでしょ?」


俺は即答で言った。


「嫌だ。」


何回やっても勝てない…。それどころか負けると決まって何かをおごれと言われる。

もうこりごりだ。


「ねぇ少しは話…」


「うるせぇな!少しは大人しくしてろ!それか別の奴と喋れよ!」


俺はここぞとばかりに言い放ってやった。

そうすると悠里は顔を真っ赤にして頬を膨らませていた。


「なんか…モチみたいっ…!」


少し本音を漏らすといきなり怒鳴りあげてきた。


「もうまーくんのことなんて知らない!まーくんの馬鹿ぁ!」


そう言いながら走って教室から出て行った。


「少しは優しくしてあげたら?」


そう不意に呟いてきたのは遥斗だった。


「あんな奴知らねーよ。ずばっと言ってやったまでだ。」


「ホントお前…顔だけはモテるのに、そんな性格だから彼女1人も出来ないんだよ。」


「…はぁ?余計なお世話だ。出来ないんじゃなくて出来ないようにしているんだよ。」


「あぁ、そうでしたね(笑)」


遥斗は立ち上がって教室を出て行ってしまった。


今頃カレカノじゃないと遅いのか?
別にそういう法律もないから別にいいと思っているんだが…。
それとも俺の考えが遅いのか?

俺は腕を組んでいつもは利用しない脳をフル回転させて考えていた。


「誠くん、ちょっと話があるんだけど…ちょっといい?」


話かけてきたのはクラスの女子の中でいつも仕切っている菜槻(なつき)が話しかけてきた。
今それどころじゃないが、無視はひどいと思ったので適当に首を縦に振った。

「放課後、教室で待ってるから絶対に来てよ!」


「わかってるって!」


そのとき俺は悠里のことを考えていた。


あいつ…今どこにいるんだろう?