ゴリラ野郎に面倒な事を任されて転校生の「神山」に校内を案内していた。

はぁ…本当なら今頃寝ているはずなのに…こんな面倒な事をまかされちまった…。
こんなことするならシュート練習していたほうがよっぽどましだ。


「ねぇ…椎名くん…迷惑だった?」


俺は名前を呼ばれハッっとした。

後ろを振り返ると申し訳なさそうにうつむいてスカートをギュっと握りしめていた。


「い、いやぁ迷惑なんて思ってねーよ…ただ考え事してただけ…。」


半分本当で半分嘘の事を言った。
我ながら下手くそな嘘をついたものだ。
頭を掻きながら神山を見下ろしたが、まだうつむいていた。

神山は黙り込んでしまった。

よくコロコロ表情がかわるぜ…。
と言いそうになった口を慌てて抑えた。

神山はどこかを眺めていたので聞いてみた。


「おい…どこみてんだよ?」


紛れもなく体育館を見ていた。

まさかコイツ…運動部だったわけ!?
内心驚きながらも聞いてみた。


「お前…前の学校で運動部だった?」


そう聞くと神山はゆっくりと頷いた。

「何部?」と聞いても黙り込んだままだった。

無言のまま教室に戻った。



俺は初めて女子に興味をもった。




女子ってこんなに表情がコロコロ変わったり…




少し神山悠里のことが気になっていた。