オレが流と関わっている理由は、ひどく明確で単純だ。
コイツは人望がある。

ただそれだけ。

人望がある人間と共にいれば、オレの立場は必然的に優位になる。

流の人望が共にいるオレにも伝染する。
オレにも虚の、強く握れば簡単にくずれてしまうような人望がある。
流がいるからこそ発揮している人望。

「裏技ー?お前みたいに夜中までゲームしないことかなあ?」

席に着きながらオレは言う。

「って!それはしょうがないの!ゲームがオレをよんでるの!」

流がばかみたいな事を大声でいう。

「とうとう幻聴が・・・今夜が山です。」

オレが手を合わせながら言う。

「勝手に殺すなー!」

流が叫んだ。

教室にはクスクスと笑い声がする。
こんな下らないやりとりを聞いて笑ってくれる人がいる。

底抜けに明るい流だからこそ、人望があるのかもしれない。

このままでいいんだ。
このまま何もおこらず、平和に終わってくれれば。
オレは大きく何かをもとめない。
現状維持。

ただそれだけでいい。