残された璃子は扉が閉まり、少し経ってから
つーっと頬に涙が落ちた



あのふわふわとしている髪も
笑うとくしゃっとなる目も
優しく抱き締める大きな手も
少し不機嫌そうな口調も


全部、全部……

璃子は嫌じゃなかったのだ



本当は最初から気付いていない振りをしていただけだったのかもしれない……


素っ気ない態度を取る三浦南朋をつい、目で追っていたことにーーー

時折、璃子に向ける真剣な眼差しにーーー



忘れられるわけない、だって…

「これが、私の初恋だったんだから……」

と呟き、しゃがみこんで大泣きした


璃子にとって三浦南朋の“忘れて”という一言は
一番辛いものであった


遊びでも良い、なんてさっき一瞬でも思い
気持ちを伝えようとして罰があたったのか…



「あーあ…好きになったのに…

…っなかった事にされちゃった………」


と璃子は涙を流しながら笑い



ーーーいつの間にか暗くなり雨が降っている空を見上げた