次の日はめずらしく目覚まし時計が鳴る前に
パチッと目が覚めた


“昨日も夕方雨降ってたし、そろそろ梅雨か~”

なんて憂鬱な事を思いながら、のそのそと支度をする


その結果、やっぱり遅刻しそうになったので
淳平に送ってもらった



「いやー、いっつも悪いねぇ。全く。
ありがとね!遅刻しないよーに!」

と、淳平の背中をパシッと叩きながら言う


「……わかってんなら電車で行けよ。」

と言いながら横目で睨み
淳平は急いで自分の学校へと向かっていく……が、突然くるりと振り返り


「……あのさ、なんかあったら俺に言えよな」

と少し目線を璃子から外し、モゴモゴと
照れ臭そうに言う淳平に自然と笑みがこぼれる


“了解!”と元気よく答え、手を振る璃子を見て
そそくさと前を向き自転車を漕いでいった

そうなのだ
実際、淳平は昨日帰ってきてから璃子の様子が
いつもと違う事に気が付いていた


“心配してくれてるんだ……”

我ながら良い弟だ、ふふっと笑いながら少し離れている学校へ向かうと

校門に寄りかかって腕を組み
困ったような笑みを浮かべてこちらを見ている
三浦南朋の姿があった