「おい、弟よ」

玄関に座りスニーカーの紐を結びつつ
むすっとした顔でこちらを振り返る
弟の水沢淳平(みずさわじゅんぺい)


「んだよ、今日もか?」

その問いかけに

「うん!よろしくお願い致します、淳平様!」

と満面の笑みで答える


そんな答えに淳平はさして嫌そうな顔をせず
呆れたような目を向け
すぐに足元のスニーカーに目線を落とした


私と淳平は年子で
淳平は隣の某有名男子校に通っている

ローファーを履き、座っている淳平の顔を見る

淳平はバスケ部に所属していて
学校も自転車で行ける距離のため
高校生のくせにジャージで登校している


相変わらず整った顔をしてんなあ、
と溜め息まじりに淳平の顔を見つめる

最近染めたさらっとした茶色の髪
くっきりとした愛らしい二重の目
白い肌、高い鼻、形の良い唇
恐らく180はある身長……


ばこっ

「いって!何すんだよ姉貴っ!」

持っていた鞄で淳平の頭をはたく