…5、6年ぶりか……

約10時間のフライトで疲れた肩を揉みながら
周りに視線を移す

「……寿司、食いてー」



高2の冬にロンドンへ留学したきり
俺は1度も日本には帰ってきていなかった


璃子との別れの後、俺はロンドンへ留学し
大学は移り住んでロスの大学へ進んだ

大学の間は無理やり父さんの仕事を
少し手伝わされ、継ぐ気はなかったが
何故か今も父さんの下で働いている

だが、23歳になった俺は父さんに呼ばれ
急遽帰国することになったのだ


「……帰ってくる気、なかったんだけど」

向こうでも事業提携などを始めた父さんを
英語が堪能だった為、大学を卒業して1年
サポートするために働いていたのだ





そして空港から出てタクシーへ乗り込んだ


「お客さん、どちらまで?」

「……銀座スペードホテルまで」


行き先を告げ、俺は少し眠りについた