「……な、んで浩一さんが謝るのっ?

悪いのは……全部私じゃん。
全部全部私のせいじゃんっ……!」

「璃子のせいじゃないよ」

「違うっ……今だってっ
私プロポーズを受けに来たのにっ……
それなのにっ……」

そして璃子の目から大粒の涙が溢れた


「私が……今まで取り繕って……
言わなきゃいけなかった事、
全て浩一さんに言わせてっ……」


「璃子。もうわかっただろ?
……自分の気持ち。

俺はさ、どんな形であれ璃子には
笑顔で幸せに過ごしてほしいんだ……

それが俺の隣じゃなくても……」


「浩一さん……」


「もう泣くな……

あーあ。璃子、俺みたいな良い男なんて
そうそういないからな?
全く惜しい事するよ、璃子は。」


そう言って璃子の頭を撫でる


「……浩一さん、ありがと……」

榊は璃子に首を振ると
正面を向いて璃子の方を見ずに言った


「悪い……
今日はちょっと、送ってやれそうにない……
ははっ、カッコ悪いな……1人で帰れるか?」

璃子は頷いて立ち上がった

「……浩一さん、今までありがとう 」

それだけを言って榊に背を向けて歩きだす



“……どうか、どうか幸せになって”