「折角の休日なのに、木ノ内さんとじゃなくて俺と会っていていいのかよ。

木ノ内さん、卒業が近くなってきても衰えるどころか、ますます人気が上がっているぜ」


こいつは涼子と同じ大学に通っている。

もっとも、一年浪人して学年は一つ下になっているが。

高校時代とは違って大学では積極的に人とのコミュニケーションを図っていることは知っていたが、学校内でも人気があり何人かの学生に告白されたという。

そういうことは、こいつが大学に入るまでは僕は分からなかった。


「まあ・・・な」


少しため息をつき、遠くに視線を移す。

秋も中盤になり、肌寒くなってきたこともあり、歩く人の服装は温かみを増していった。