「翔ちゃんはもう写真撮らないの」


4年前の文化祭の話が終わり、しばらくの沈黙を切り裂いた一言に胸が何かに突き刺されたように痛くなった。


「どうして?」


苦し紛れの表情は自分でも痛々しく、彼女には僕の心の中が見透かされているようで余計に胸の痛みが大きくなった。

そして、視線を逸らさない彼女に僕は戸惑った。


「最近、写真見せてくれないし、話も全然聞かなくなったから。

翔ちゃん、カメラマンになればいいのにって、大学入ってからずっと思っていたのは私だけだったのかな」


そんなことはない。



彼女の演劇に負けじと、僕だって好きな写真のプロを目指そうと思ったことはある。

だけど歳を重ねると、それがどんなに難しく、自分の才能では足りないということを嫌というくらいに思い知らされてしまう。

彼女は自分の才能の大きさが分からないだけで、僕は自分の才能の大きさを分かってしまったのだ。