僕と涼子はそれぞれ別の大学に進学して、初めての一人暮らしに最初の頃はお互いが慣れない生活に四苦八苦し、なかなか会えない日が続いた。

お互いが新しい生活を励まし合い、二人で徐々にこちらの生活に慣れていった。

電車で1時間掛かるか掛からないかの距離が最初は遠かったが、それも次第に縮まり今ではお互いの都合が合うときはいつでも会える距離になった。


「懐かしいね」


ブレザー姿の高校生たちが学園祭か何かの買い出しをしている姿を見て、涼子は艶やかな髪をなびかせながら立ち止まる。

きっと、今僕が頭に浮かんだ時間と同じ時間を彼女は思い浮かべているだろう。


「あれから、もう4年が経つんだね」


「そうだね」


高校最後の文化祭



今の僕はこの時間を思い出すときだけが、唯一彼女の隣で歩けている。

その思い出から離れてしまうと、また僕は彼女の後ろへと下がってしまうのだ。