自分でも酷いことをしていると分かっているが、こうして人に言われると本当に酷いことをしていると痛感してしまう。


「大方、涼子に遠慮でもしているんじゃないの」


「えっ」


「あの子は確かに凄いよ。

どんどん演劇も凄みを増しているし、実際にあの劇団に入団が決まるなんて思ってもみなかった。

そんな涼子と一緒にいてもいいのかって、私と一緒で和中君も思っているんじゃないの」


「・・・」


「私がそのことを少し口にしたとき、あの子泣いてた。

あの子にとってそう思われるのが一番辛いんだって、そのときに初めて気付いたわ。

きっと、和中君には大事過ぎて言えなかったのかもね」