「だから、それまで一旦距離を置いてほしい。

会わずにいたい。

本当に勝手なことを言っているのは分かっている。

それでも返事を待っていてほしい」


何て勝手な男だろう


そのときのことを口にしないで返事を待っていてほしいと、そう言っている自分がその勝手さを一番よく分かっている。

そして、それを聞いている目の前の彼女が僕を勝手だと一番思っているということも分かっている。

それでも言葉を発することなく、彼女は頷いて背を向けて遠ざかっていった。

こうして、僕たちはしばらく距離を置くことにしたのだ。