恋がはじまる音



***



「ふうかー、何見てんのー?」


友達の花夜(かや)の声で、ハッ我に返った。


風香(ふうか)、というのは私の名前だ。


「えっ。な、何も見てないよ!」


「……ふーん?」



教室から見えるグラウンド。


今日はたまたま部活がなくて、同じ部活の花夜と一緒に教室で数学の課題をやっていた。




……教室から見えるグラウンド。


白築くんが風を切って走る姿に、思わず目が離せなくなっていたんだ。




「……ヘンなの」


胸が、きゅうってなる。



最初で、最後。


キミとの帰り道は、昨日が最初で最後だったはずなのに、それがすごく惜しくなってる。


……キミに、会いたくなってる。