琴音はユウとたくさんの話をした。
琴音の従兄弟の話。妹と口喧嘩になり、姉にうるさいと窘められた話。
ユウが乗るブランコを後ろから漕ぎながら、琴音は自身に起きた話を面白おかしく話すのが定番だった。
ユウは琴音の話を笑って聞いていた。・・・琴音にできるのはそれだけだった。
あの日、彼女ーユウに出会ってから、ずっと続けてきたことだ。

「琴音おねーちゃんのお話はいつも面白いねっ。私もお姉ちゃんいるんだけどね、すごいイジワルなの。おやつのクッキーたくさん食べちゃうの」

口を膨らませるユウに、琴音はくすくすと笑う。

「わかるわかる。私が楽しみに取っておいたチョコプリン、お姉ちゃんに食べられたんだよ。ひどいよねぇ」

「そーなのっ!ママの作ってくれたクッキー、私はお花型が好きだから最後に食べたいのに、おねーちゃんってば、すぐ食べちゃうんだよっ」

彼女にはお姉さんがいるらしい。2歳上のようだ。