大好きな君



「やっぱ美味しそうだねー!」

自由席状態のテラスに席をとって座った湊が言った

「うんっ!すごい美味しそう!!いい臭いだしね!」

「だよねー!」

「じゃあせーのっ」

「「いただきます」」


私が口癖になったいただきますを湊は糸も簡単に受け入れてから
ずーっと

多分五月の始めくらいからそうしてる


「んっ!!おいしーっ」


また想いにフケていた私をおいて食べ始めていた湊が漏らした感嘆の声が聞こえて

はっ、とした


いただきます





「っおいしっ!!」

口に含んだとたん香ってきたバター独特の匂い
柔らかい赤身が口の中で蕩けるみたいに味が広がる

ちょっぴり胡椒の味のあとは苦味のない
ごくっとのみ込んだ後のベタつかない後味に思わず口が綻ぶ


「めっちゃ美味しい!
これにしてよかったー!」

「悩んでたくせにー

でもホント美味しいよね」

「うんっ」


話しながら食べる業を知らない私は一口一口食べてから話すんだけど

今日はそれもできないくらい美味しい