先天性マイノリティ




私が彼を守りたいと思う理由の中には様々な錠剤を砕いた粉末のような入り乱れた効能が散乱している。

そして結局、コウもゼロジも私も本質は同じなのだろうと思う。

行き着くあれこれだけれど、目的地は違わない。

同じ塊から分裂して別の人間になっただけと言ってもいい。


ただ突然の変異は私がゼロジを好きなことと、コウとゼロジが想い合ったことの二点。


…同質の者同士は、きっと恋愛的観点で一緒になってはいけないのだ。

それは短絡的なマイノリティだけでは清まされない禁忌であり、絶対の法律のような気さえする。

私たち三人の間の本能的欲望は精神上の近親相姦に価する。


今は、はっきりとそう感じる。


コウは、ゼロジの神さまになりたかったのかもしれない。


自分自身に追い詰められて、怖くなってしまったのか。


窓際の掛時計の秒針の音だけが曖昧に相槌を打つ。



「…だからって、死ぬのは狡いよ、やっぱり」




私だって、戦ってる。



フローリングの木目を指先でなぞりながら呟く。


滴り落ちる水分は無数の粒となって思い出を濡らした。



月日の隅々まで、染み渡らせるように。