その時は昔の卓也だった。 優しくて私の大好きな彼氏の姿に。 もうあの時のあなたはいないのだと、分かっているのにまだ優しいあなたが、消えてくれないの。 ───────── ───── ── 「どうしたんだよ心!」 颯の言葉でハッとした。 いつの間にか周りは、知らない街並みになっていた。 「あ‥ごめん…。」 逃げることに夢中で全然周りが見えていなかった。