「えっえっ違うの…?でも資料室で李恋ちゃ…」
そこまで言って気づく。
資料室って言っちゃえば李恋ちゃんがあたしを閉じ込めた張本人だってバレるんじゃ…。
焦ったあたしは、吉田くんに聞こえてないのを願った。
「なんで資料室で李恋と会ってんの?てか、なにお前李恋に閉じ込められたの?」
手をがしっと掴まれて、近距離で顔を覗かれる。
吉田くんの目があたしを捉えて、身動きができない。
「どうなんだよ」
…李恋ちゃん、ごめんなさい…。
あたしは心の中でそう唱えながら、こくんと小さく頷いた。
そして聞こえたのは吉田くんのため息。
「やっぱりそうなのか」
「やっぱり…?」
「李恋の悪い噂は結構聞いてたんだよ。けど俺噂に惑わされて友達失いたくねえし、自分の目で確かめたかったんだ。李恋が噂通りのやつか」
そうだったんだ……。
「でも普通に優しくていい奴だったから、そのまま友達やってたんだよ。でもこうやって花に手を出したんなら俺はあいつと友達やめる」
友達…なの?
李恋ちゃんは彼女じゃなくて友達…?
「李恋には告られたよ。でも花いるからフったわけ。だから俺と李恋は付き合ってない。つか、んな嘘に騙されんなよ」
「・・・ごめんなさい…」
あたし…一人で勘違いしてバカみたい…。
うう…恥ずかしいよぉ…。
あたしは思わず俯いた。
吉田くんの瞳から逃げるためもあるけど、一番は恥ずかしさで赤くなった顔を見られたくなかったから。

