午後の授業は、全然耳に入らなかった。 あの二人の光景が頭から離れない。 今日は金曜日。 一緒に帰る約束をしてる日だが、吉田くんは今日も絶対李恋ちゃんと帰るだろう。 はあ、とため息をついて教室を出ようとした。 「ちょっと…いいかな?」 ドアのところに立ってる人に声をかけられた。 顔を上げると…… 「李恋、ちゃん…」 今一番あたしを悩ましてる元凶の、中山李恋ちゃんが立っていた。 「来てくれる…?」 李恋ちゃんは、そう言うとあたしの腕を掴んで強引に連れていった。