杏里の言葉に驚愕する。



ま、まさか吉田くんも寝取られ・・・。


いやっ、ないない!


吉田くんに限ってそんなことはない!…はずだよね?



言い切れないのが、100%信用できないのが悔しい。



思い返してみれば、あたし吉田くんに好きって言われたことなんて一度もないし。


デートというデートもしたことがない。


唯一したといえば、あのクレープを一緒に食べた日だけ。


あの日は凄く楽しくて幸せだった。



じわっと目頭が熱くなった。



「わっ、ちょっと花泣かないで!」


「泣いて…っなんか、ないっ…もん!」


「はいはい」


杏里はそう言いながら、ハンカチをくれて頭を撫でてくれた。


「ありがと・・・」


小さくボソッと呟いた言葉は、杏里に聞こえているかわからなかった。