「やだぁ!やだよ!お母さん!お母さん!」 手から血がでるくらい、必死に壁を叩いた。 お母さんが消えてしまう。 そのことが、手の痛みより何よりも痛かった。 そのとき、お母さんがまたあたしの方を向いた。 そして……静かに消えて行った。 消える瞬間に、あたしはこの目でしっかりとみたんだ。 お母さんの口が、 「花、大好きだよ。いつまでも私の可愛い一人娘」 そう、動いていることに。