資料室に本来掛かっているはずの鍵は掛かっておらず、扉を開けると奥の窓際で外を眺めて彼女が立っていた。


「有明の、つれなく見えし別れより。

あかつきばかり、憂きものはなし」


こちらに気付き、視線を外に向けたまま口にした。



その大人びて、どこか寂しそうでいながら、普段とは違った一面に僕は惹かれたのだ。


「課題、できた?」


視線を僕のほうに向け、優しく微笑んでくる。

その表情を見てしまうと、終わってしまうことが分かっている自分がとても嫌になりそうだ。

でも、言うしかない・・・