beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

早手Side

水乃の手が、俺の頭に触れてる。

付き合ってた時だって、俺から触ることの方が多かった。

なのに今は、俺が水乃の肩に顔を埋めて、水乃が俺の頭をゆっくり撫でてる。

「…………」

なんか、落ち着く。

昨日からずっと頭の中に残ってたものが、水乃の手が髪を撫でるたびに少しずつ静かになっていく。

自主練してても全然消えなかったのに、今は水乃に触れてるだけで少し楽になる。

もう一度、水乃の手が俺の髪を優しく撫でた。

「……悪い」

気づいた時には腕を伸ばして、水乃の背中に回していた。

そのまま自分の方へ引き寄せる。

「っ!!!」

「はやっ……て!?」

驚いた声がすぐ近くで聞こえた。

離した方がいいと思ったのに、できなかった。

むしろ腕の中にいる水乃を、もう一度強く抱きしめる。

肩に顔を埋めると、ふわっと甘い香りがした。

ずっと前から知ってる。

俺の落ち着く、甘い香り。

「…………」

やっぱ、落ち着く。

何かあった時、一番会いたくなるのも。

こうして触れてるだけで、一番安心できるのも。

結局、ずっと水乃だった。

「……悪い」

もう一度小さく言ったけど、腕は緩められなかった。

水乃も何も言わない。

離してとも言わず、俺の頭に添えていた手で、またゆっくり髪を撫でてくれる。

それが嬉しくて、また少しだけ抱きしめる腕に力が入った。

「…………」

さっき聞かれた時は、何も言えなかった。

水乃にどこまで話していいのかも、何から話せばいいのかも分からなかった。

でも、こうして水乃を抱きしめてると。

いつの間にか。

口から言葉が出ていた。

「……昨日」

「……うん?」

少しだけ不思議そうな声が、すぐ近くから返ってくる。

水乃の肩に顔を埋めたまま、小さく息を吐いた。

「……木南の件で、放課後呼ばれた」

「…………」

俺の頭を撫でていた水乃の手が、一瞬だけ止まった。

「……木南さん?」

「うん」

それ以上、水乃は何も聞かなかった。

止まっていた手が、またゆっくり俺の髪を撫で始める。

俺が続きを話すのを待ってくれてる。

それだけで、また少し落ち着いた。